2009新年・中村区役所紛糾・新聞報道

庁舎からの退去を求める市職員ともみ合

毎日新聞:宿泊施設:再開放求め混乱 野宿者続出 名古屋市 2009/01/15

宿泊施設:再開放求め混乱 野宿者続出 名古屋市

宿泊場所を求めて次々と相談に訪れる失業者ら=名古屋市の中村区役所で2008年1月14日午前11時50分、中村かさね撮影 失業と同時に住居を失う派遣労働者が後を絶たず、名古屋市が確保した宿泊施設の満室が続いている。宿泊場所を求める相談者に市も対応しきれない。失業者向けの相談窓口が設けられている同市中村区役所では14日、年末年始に臨時開放した港区の宿泊所の再開放を求める宿泊希望者らと市職員の交渉が紛糾、騒然とした空気に包まれた。【中村かさね、山田一晶】
 年が明けてから1日約100人が相談に訪れている中村区役所のロビーは、この日も100人以上であふれた。13日夜から宿泊場所が見つからず、ロビーで夜を明かした人も。14日の宿泊場所を確保できたのは14人という。
 支援者らは市との交渉で、今月7日まで約400人に開放されていた元港湾労働者のための宿泊施設の再開放を求めた。交渉は、宿泊場所のない人たちを含め約50人が取り囲んだ。市側は「施設は老朽化が進んでおり、開放は臨時。現行制度の中で努力をしている」と開放を拒否。若杉賢二・市生活福祉部長が「今日はお帰りいただき、あしたお越しください」と告げると、相談者からは「家がないから来ている。どこへ帰ればいいのか」と怒りの声が上がった。押し問答は4時間近くにわたり物別れに終わった。この日、宿泊施設が確保できなかったのは数十人に上り、うち12人がそのまま区役所に残った。
 市はこれまで694人分の宿泊場所を確保。このうち旅館などを利用した緊急宿泊施設では、今年度633万円の予算を計上していたが、昨年11月までに2000万円の経費がかかっているという。
 今月5日から市内の公園で野宿している杉山光伸さん(31)は「行政には期待していなかったので、やっぱりか、という気持ち。今夜も野宿か」と途方に暮れていた。

毎日新聞 2009年1月15日 2時16分(最終更新 1月15日 9時46分)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090115k0000m040167000c.html

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毎日新聞:宿泊施設:再開放求め混乱 野宿者続出 名古屋市 2009/01/15

宿泊場所を求めて次々と相談に訪れる失業者ら=名古屋市の中村区役所で2008年1月14日午前11時50分、中村かさね撮影 失業と同時に住居を失う派遣労働者が後を絶たず、名古屋市が確保した宿泊施設の満室が続いている。宿泊場所を求める相談者に市も対応しきれない。失業者向けの相談窓口が設けられている同市中村区役所では14日、年末年始に臨時開放した港区の宿泊所の再開放を求める宿泊希望者らと市職員の交渉が紛糾、騒然とした空気に包まれた。【中村かさね、山田一晶】
 年が明けてから1日約100人が相談に訪れている中村区役所のロビーは、この日も100人以上であふれた。13日夜から宿泊場所が見つからず、ロビーで夜を明かした人も。14日の宿泊場所を確保できたのは14人という。
 支援者らは市との交渉で、今月7日まで約400人に開放されていた元港湾労働者のための宿泊施設の再開放を求めた。交渉は、宿泊場所のない人たちを含め約50人が取り囲んだ。市側は「施設は老朽化が進んでおり、開放は臨時。現行制度の中で努力をしている」と開放を拒否。若杉賢二・市生活福祉部長が「今日はお帰りいただき、あしたお越しください」と告げると、相談者からは「家がないから来ている。どこへ帰ればいいのか」と怒りの声が上がった。押し問答は4時間近くにわたり物別れに終わった。この日、宿泊施設が確保できなかったのは数十人に上り、うち12人がそのまま区役所に残った。
 市はこれまで694人分の宿泊場所を確保。このうち旅館などを利用した緊急宿泊施設では、今年度633万円の予算を計上していたが、昨年11月までに2000万円の経費がかかっているという。
 今月5日から市内の公園で野宿している杉山光伸さん(31)は「行政には期待していなかったので、やっぱりか、という気持ち。今夜も野宿か」と途方に暮れていた。
毎日新聞 2009年1月15日 2時16分(最終更新 1月15日 9時46分)

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090115k0000m040167000c.html

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共同通信:名古屋市に無料宿泊所の開放求める 「受け入れ拡大は困難」と市側 2009/01/14

 「派遣切り」などで住居を失った多数の失業者が名古屋市の受け入れ施設への入居を求めている問題で、失業者を支援する市民団体などが14日、現在恒常的に使っていない老朽化した無料宿泊所を臨時開放するよう市に申し入れた。市側は「施設は満員で受け入れ拡大は困難だ」として理解を求めた。
 同市中村区役所で行われた申し入れには失業者ら約30人が参加。支援者側が「年末年始に約400人が入っていた無料宿泊所をなぜ開放できないのか」と求めたのに対し、市側は「年末年始は臨時対応。施設をフル活用しているが、現状が精いっぱいだ」と答えるにとどまった。
 失業者らが「今がまさに緊急事態」「生きるか死ぬかの問題だ」と怒声を上げるなど協議は一時紛糾。支援者側は市長に無料宿泊所の開放などを求める申し入れ書を提出した。
 区役所内では同日、ボランティアによる炊き出しが行われ、おにぎりや豚汁が振る舞われた。豚汁を手渡していた主婦(65)は失業者らに「早く良い仕事を見つけてくださいね」と声を掛けていた。

2009/01/14 19:31 【共同通信
http://www.47news.jp/CN/200901/CN2009011401000837.html

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中日新聞:緊急宿泊所パンク 希望者「見殺しか」、名古屋市「もう無理」 2009/01/14

名古屋市が景気悪化の影響などで住まいのない人を対象に無料で提供している緊急宿泊所について同市は13日、「これ以上対応できない」として追加の受け入れの打ち切りを決めた。中村区役所の窓口にはこれまでで最も多い人が訪れたが、市側の対応に夜遅くまで混乱が続いた。
 同市は希望が殺到した今月5日以降、カプセルホテルや民間社員寮を追加で借り上げるなどして対応してきた。しかし、同区役所に13日午前11時前、「緊急宿泊所は満員となりました。利用はできません」との紙が張り出され、宿泊希望者と支援者約30人が市側に対応を求めた。市保護課・金子修身課長が「申し訳ないが、お引き取り願うしかない」と説明した。
 午後9時すぎからは「速やかに退去するように」と要請。これに対し「見殺しにする気か」「生活保護が必要な人を放り出すのか」と非難する声が上がり、激高する人も。文書を読み上げる中で、職員と支援者らがもみ合う場面もあった。
 市の担当者は「不況の先が読めず、このままでは際限がない」と今回、追加対応をしない理由を説明する。この日、中村区役所に生活や住居相談に訪れたのは、約130人。一方、緊急宿泊所や追加の元社員寮に既に入居している人には、市が仕事が決まるまで期限を越えての入居を認めており、パンク状態が解消されるめどが立たない状態だ。
 この日は結局、午後11時30分ごろ、支援者側と市側が14日も話し合いの場を持つことで収束。最後まで残った希望者のうち支援者のカンパで確保した宿に8人が移ったが、2人は退去命令が出るまで区役所にとどまることを決めた。

http://www.chunichi.co.jp/article/feature/koyou_houkai/list/200901/CK2009011402000173.html?ref=rank

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時事通信:失業者ら区役所で一夜=名古屋 2009/01/14

職と住居を失った人たちを一時的に受け入れる名古屋市の宿泊施設が満員となり、中村区では14日、失業者と支援者ら約30人が区役所の廊下で一夜を過ごした。失業者らの要請を受ける市部長(写真奧右から2人目)ら 【時事通信社
http://www.jiji.com/jc/p?id=20090115095529-7627625

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生活保護など求め混乱続く 緊急宿泊所問題、一夜明け…
2009年1月14日

中日新聞:【雇用崩壊】生活保護などを求め、朝から相談者が列をつくった=14日午前8時49分、名古屋市の中村区役所で 2009/01/14


 景気悪化で仕事や住まいを失った人たちであふれかえった名古屋市の中村区役所。緊急の無料宿泊所を確保できなくなった問題は13日深夜まで、支援者と市職員も入り乱れ、混乱が続いた。14日も朝から多くの人が生活保護申請や宿を求めて区役所に押し寄せ、解決策が見いだせない状況となっている。
 14日午前零時を迎えるころ、市側は同日中に再び交渉の場を持つ、と回答。残っていた宿泊希望者は、多くが支援者のカンパで用意された旅館に向かったが、2人が支援者らと強制退去させられるまで区役所2階の講堂前にとどまることを決めた。
 その場で夜を明かしたのは計10人。ストーブが止められた中、支援者らが持ち寄った毛布や買い出ししたコンビニ弁当で寒さと空腹をしのいだ。宿泊希望者の50代の男性は「ここまでやったんだから最後までここにいたい」と長いすに体を横たえた。当初、20人以上いた支援者らは午前1時を回ると10人ほどまでに。パイプいすや床に直接、毛布を敷いて寝る人もいた。
 午前8時45分の受け付け開始には、約50人が並んだ。区役所に泊まった別の男性(45)は「1時間ほどしか寝ることができなかった」と疲れきった様子。市との交渉については「本当に前に進むのだろうか」と不安げに話した。
 正午前、この日の緊急宿泊施設がすべて満室となったことが紙で張り出された。前日も宿泊場所を確保できずに支援者の補助を受けた男女は「もう打ち切り? 早いよ」と大きなため息。順番待ちの人であふれる待合所では、支援者らが「交渉するのであきらめないで帰ったりしないでほしい」と呼び掛けた。生活保護などを担当している同市保護課は「13日の段階と同じで、これ以上の対応は市として考えていない」と緊急宿泊所の新たな確保をする予定はない、としている。

http://www.chunichi.co.jp/article/feature/koyou_houkai/list/200901/CK2009011402000243.html?ref=rank

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共同通信:「派遣切り」名古屋の施設満員に 失業者ら急増 2009/01/13

名古屋市で13日、「派遣切り」などで住まいを失った多数の失業者らが区役所を訪れて市の受け入れ施設への入居を希望、市の用意した一時保護所や民間宿泊施設など約820人の定員が満員になった。失業者を支援する市民団体は区役所の講堂開放などを求めているが、市側は難色を示している。
 同市の中村区役所には13日朝から失業者らが住居や生活保護の相談に次々と訪れ、正午前には施設の満員を伝える紙が張り出された。
 愛知県内は同日午前に雪が降るなど寒さが厳しくなっており、市民団体は窓口で「区役所の講堂を開放してほしい」などと要請したが、市保護課は「やれることはやった。病気など個別のケースには応じるが、もう限界だ」と話した。
 市は一時保護所など通常の受け入れ施設とは別に、民間会社の元社員寮を借り上げるなど年初から緊急対応に乗り出したが、9日までに新規入居を打ち切っていた。

2009/01/13 17:43 【共同通信
http://www.47news.jp/CN/200901/CN2009011301000533.html

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毎日新聞:<名古屋市の状況を伝える記事>無料の宿、希望者殺到 名古屋市、確保もう限界 2009/01/07

生活危機:無料の宿、希望者殺到 名古屋市、確保もう限界
 失業と同時に寮などの退去を求められる派遣社員らが後を絶たない東海地方では、名古屋市を中心に年明け直後から宿の確保が緊急課題となっている。同市では従来確保してある簡易宿泊所などが満室になって急きょ、新たな無料宿泊所の確保に乗り出した。市担当者は「今後もこの状態は続く。自治体でできることは限界がある」と悲鳴を上げる。【丸山進、山田一晶】
 名古屋市は6日、ホームレスらに無料提供するため市内の元社員寮1棟を借り上げた。部屋は数十人分。借り上げ期間は1週間の予定だ。市保護課によると、1日3食を提供し、シャワーと寝具も利用できる。原則1泊だが更新も可能。初日は12人が宿泊した。
 同市では昨年末、従来ある港区の無料宿泊所を約400人にあっせんした。だが、受付窓口の中村区役所には仕事始めの5日からホームレスら約90人が殺到。市は1晩だけの特例措置としてカプセルホテル15室を借り上げた。窓口には6日も107人が訪れた。
 相談に来る人の半数以上は50歳未満で、市保護課は元非正規労働者が相当数いるとみている。
 同課の大森益男主幹は「希望者が殺到する状況はしばらく続く」とみており、利用状況次第で元社員寮の借り上げ期間延長を検討する。
 ◇公営住宅
 東海地方では、各自治体が住居を失った元非正規労働者向けに公営住宅の提供を行っている。先月25、26日に70戸の入居を募集した愛知県には100件以上の問い合わせがあり、2日間で埋まった。名古屋市は30戸を提供。6日までに20戸の入居が決まった。
 三重県は計30戸の入居者募集を続けており、8戸の1次募集では40件以上の申し込みがあった。抽選は9日。一方、岐阜県は年末から岐阜市各務原市の県営住宅計100戸の提供を始めたが、まだ入居は決まっておらず、募集を続けている。

毎日新聞 2009年1月7日 中部朝刊
http://mainichi.jp/chubu/newsarchive/news/20090107ddq041040003000c.html

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朝日新聞:名古屋の「年越し寮」閉鎖 区役所に直行する人も 2009/01/07

2009年1月7日15時12分

 名古屋市が例年、年末年始限定でホームレスなどに開放している港区の無料宿泊施設「船見寮」が7日朝、閉鎖された。「派遣切り」などで住まいも同時に失った非正規労働者の急増を受けて、支援団体が滞在できる期間の延長を働きかけていたが、市は当初の計画通り施設を閉じた。
 最終日まで利用していた281人が、市が用意したバスで名古屋駅前に次々に降り立った。街頭に立った支援団体のメンバーは生活保護の申請や緊急宿泊施設の利用を呼びかけたり、炊き出しなどの支援活動を案内したりした。
 一方、同市の中村区役所には、この日午前だけで約100人が生活保護の申請や自立支援施設への入所について相談に訪れた。船見寮からのバスを降りてそのまま相談に向かった人も多い。
 昨年12月中旬から路上生活を送り、船見寮で年を越した元派遣社員の男性(39)は「寮では『元派遣』という若者が結構目に付いた。簡易宿泊所もいっぱいのようなので、きょう泊まる所があるのかがまず心配」と不安げに話した。

http://www.asahi.com/national/update/0107/NGY200901070005.html

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中日新聞:ホームレス殺到、パンク 名古屋市の一時保護施設 2009/01/06

2009年1月6日 夕刊

 名古屋市で、住まいのない人たちを一時的に受け入れる施設が5日、入所を希望するホームレスらで満杯になり、市は一晩限りの緊急措置として、カプセルホテルの部屋を借り、13人を収容した。このような措置は初めてという。
 市によると、名古屋駅近くの西柳公園でテントを張るなどして、年末年始を過ごしたホームレスらが仕事始めの5日、中村区役所の福祉窓口に殺到。相談に訪れたのは、同日だけで88人に達した。
 住まいのない人の一時保護所(熱田区、定員50人)はすでにいっぱいで、市が日ごろから借り上げている民間の簡易宿泊所(中村区)も、25人を収容してパンク状態に。50人程度はあきらめて帰ったが、残る13人に、市は特例として費用を負担して、カプセルホテルに宿泊させた。
 中村区役所には6日朝から、再び100人近くが詰め掛けており、「今後の対応は未定」という。周辺の自治体から集まった人も多いとみられ、市保護課は「人数がこれだけ膨れ上がると、一自治体として対応できる限界を超えており、非常に苦しい」と話す。
 一時保護所は、自立する能力や意欲のある路上生活者を受け入れる。それとは別に、健康不安などで自立の難しい人を収容する名城シェルター(中区、定員200人)にも約30人の入所予定者がおり、空きはないという。
◆「素早く対応を」憤る申し込み男性
 名古屋市中村区役所には6日朝から、寝る場所や仕事などを求める人たちが殺到した。正午現在で97人に上った。
 民生子ども課の伊藤正博課長(59)は「落ち着いていた昨年と大違い。職員総出で対応している」と話す。「従来は50代以上が多かったが、今は若い人の姿も目立つ。派遣切りの影響だろうか」と推し量った。
 簡易宿泊所の申し込みに来た男性(35)は「対応が後手後手。東京のように素早く対応できないのか」と憤る。派遣労働者として県内の工場に勤務していたが、昨年12月27日に職と家を失った。「まさか自分が役所の世話になるとは」と肩を落とした。
 ホームレスなどを支援する笹島診療所(名古屋市)メンバーの藤井克彦さん(66)は「新年から相談者が非常に増えた。安易に施設に入れるのではなく、アパートなど居宅を提供し、自立させなければ滞留するだけだ」と指摘した。

http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2009010602000242.html

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毎日新聞:名古屋市の状況を伝える記事>一時宿泊「シェルター」利用倍増 「野宿よりまし」涙ぐみ−−派遣解雇、たどり着いた30代男性 2008/12/19

◇「野宿よりまし」涙ぐみ−−派遣解雇、たどり着いた30代男性
 名古屋城の近くにある東海3県唯一のホームレス向け緊急一時宿泊施設、通称「シェルター」(名古屋市中区)の利用者数が昨年の同時期に比べ約2倍になっている。景気の減速で、契約を打ち切られた住み込みの非正規労働者をはじめ、今後、住む所を失う人が増加するとみられるが、シェルターの野田幸司所長は「ほぼ満室で入所待ち状態。他の市町から流れてくるが、限界に近づいている」と話す。
 名古屋市生活福祉部によると、シェルターは04年に市が民間委託する形で開設。17日現在、開所以来最高の164人(男性157人、女性7人)が利用している。昨年11月は80人だった。最長で6カ月間の滞在が可能で部屋は単身用で約2畳。就労訓練事業として、3500円の報酬を受ける歩道清掃に就ける。
 30代前半の男性は10日から住み始めた。岐阜県内の自動車工場で働いていた元派遣社員で、9月末に契約を打ち切られた。
 九州出身。高校卒業後、英国に短期留学して各国を旅して巡り、米国の大学を卒業した。05年から愛知県内のレストランで2年半修業したが、人間関係に悩んで退職。その後アルバイトをしていたが今年6月、より給料が高い人材派遣会社に登録し、住み込みで働き始めた。
 車にバッテリーを取り付ける作業で、1日400台を扱ったこともある。腰が痛くなったが、公休以外休まなければ1カ月5万円、3カ月10万円、6カ月30万円の賞与が出るため、それを目当てにがむしゃらに働いた。
 9月上旬、突然「月末で解雇」を宣告された。6カ月契約の3カ月目。「住み込みで働ける場所を探し、20件は電話したが断られた。頭が真っ白になった」と振り返る。
 寮を出た9月末には50万円が手元にあった。安いホテルやネットカフェを転々としながらハローワークなどで求職活動をしたが11月、残金が3万円になったところで野宿を決めた。海外生活では旅行中に何度か野外で寝たことがあり、意外なほど抵抗はなかった。
 最初の夜は名古屋駅の地下街に入る階段。その後、高架下が主な寝場所になった。冷え込みが厳しくなり、先輩格のホームレスから布団や座布団をもらった。シェルターを紹介してくれたのもその先輩だ。「シェルターが何なのか分からなかったが、野宿よりまし」とたどり着いた。
 シェルターでは午前9時に起床。夕食は支給されるが、朝昼は水やカップラーメンでしのぐ。名古屋駅前、繁華街の栄の人込みを歩いて時間をつぶす。年内の再就職はあきらめている。
 「なぜこうなってしまったのか」「手取りがよいからと派遣の仕事に飛びついた。タイミングが悪かったのか」「こんな自分でも結婚して、家庭を作れるのか」−−。取材中、男性は何度も涙ぐんだ。両親には今の状況を伝えていない。【木村文彦】

毎日新聞 2008年12月19日 中部朝刊
http://mainichi.jp/chubu/newsarchive/news/20081219ddq041040017000c.html

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