なごやボランティアセンター「ホームレス職員」に懲戒解雇強要
労働者協同組合の理念忘れた指定管理者ワーカーズコープ
さとうしゅういち2009/06/23
http://www.news.janjan.jp/area/0906/0906215505/1.php
NPO法人ワーカーズコープ(センター事業団)が指定管理者のなごやボランティア・NPOセンターでは、2008年4月の指定管理者を前任者から変更しての受託直後から、ワーカーズコープ当局によるKY解雇事件、「脳内出向」事件、労組委員長への嫌がらせなどの問題が続発しました。そして、一度は約束したYさんの常勤化に対しては約束の反故とシフトの激減などのいやがらせが行なわれたのです。
そして、当局の巧妙ないやがらせにより、Yさんは2009年に入ってからは、徐々にホームレス状態に追い込まれていました。
さらに驚くべき事件が続けざまに発生しました。
なごやボランティア・NPOセンター(撮影筆者)
■身の覚えのないことで退職願い強要
当局は、これまでYさんが身に覚えのないことや、他の職員のしたことについてまで、「反省文」を書けといってきました。さらには、NPOセンター当局の不手際が濃厚に疑われる事件の責任をすべてYさんに押しつけようともしているそうです。
そして、「反省文を書かなければ懲戒解雇にする」、「自主的に退職願を書いたら諭旨免職にしてやる」、とまで言い出したのです。Yさんには、身に覚えがない言いがかりをつけてきているそうです。もちろん、自分のしていないことについてまでは、反省のしようもありません。退職願ももちろん書いていません。
■規約を失念?しているワーカーズコープ当局
Yさんの雇用者であるNPO法人ワーカーズコープは、出資金を出して働く「労働者協同組合」のひとつです。「労働者協同組合」は、理想としては雇う、雇われる関係を克服することが目標のひとつです。もちろん、そんな理想を言っても、現実には「雇用関係」は存在していますが、雇い主だけが一方的に強くならないような「しくみ」が工夫されています。
Yさんの雇用者であるNPO法人ワーカーズコープでも、ルールとして「懲戒解雇になったものは、総会で発言をできる」ことになっています。
今回、Yさんは当局側の一方的な言い分に対して、「懲戒解雇をするなら、総会で発言させろ」と文句をいったそうです。NPO法人ワーカーズコープの「総会」は少し前に開催されましたが、そこで「懲戒解雇」になった人としてYさんは議題に上ることもなかったそうで、いまだに音沙汰がないそうです。
NPO法人ワーカーズコープの就業規則には、労働者協同組合の理想を反映してか、このような対抗措置が盛り込まれているそうです。「文面だけを見れば、一般企業よりも良い可能性はある」そうです。ですが、運営実態としては、その「理想」は、まったく実現できていないそうです。
今回の「懲戒解雇脅迫騒動」も、Yさんが総会での発言権がある事を指摘したら、とたんに音沙汰がなくなってたそうです。Yさんは「ひょっとしたら当局は、そのような規約があることを失念していたのではないか」と語っていました。
労働者協同組合の理想を実現するための規則がまったく省みられていない運営実態に対して、Yさんは「労働者協同組合の理念が泣いている」と語ります。
■薄れた日雇い労働者運動の理念
NPO法人ワーカーズコープは、その前身は、日雇い労働者の仕事おこし運動だった、とのことです。ですが、世代交代を繰り返し、その当時の活動家は残っていません。
NPO法人ワーカーズコープのはパンフレットにも、あまりに昔のことなのでその当時のことは正確には書かれていません。
世代交代を繰り返すうちに、現場での苦労とともに紡ぎ出された労働者協同組合の理想が、型どおりのお題目に変化してしまい、考えることをしなくなり、普通の企業よりも惨い運営実態になってしまったのではないかとYさんは語っていました。
■来客に「Yさんはもう辞めた」とウソの伝達
ところが、Yさんが不在のとき、Yさんに相談にやってきた来客に対して当局側の職員が、「Yさんは、もう辞めた」と勝手に伝えていたとのことです。
以前も、NPOセンターでの労使紛争のことを心配して、大丈夫ですかと聞きにきた来客に対して、当局側の職員が「労組など存在しない、嘘です」などとむちゃくちゃな説明をした、という事件がありました。
そのお客さんが不審に思ってYさんに再確認して、Yさんが「労使紛争があるのは事実ですが、センターの運営に支障はありませんから安心してください」ということを説明してたことに対して「反省文を書け」などと言いがかりをつけた当局。今度は、もう辞めさせるから、「辞めた」と言ってもいいんだ。そういう当局の悪意を感じました。
労使紛争も、そしてYさんの存在までも「ないこと」にしようという当局の体質があらわになった形です。Yさん側は、当局に対して抗議する、ということです。
◇ ◇ ◇
関連記事
・ホームレス支援のアルバイト職員自身がホームレスに2009/06/10
・なごやボランティア・NPOセンター 当局の大掃除で大混乱2009/04/13
・労使交渉で「脳内出向」事件に逆切れ、使途不明金も発覚か? なごやボランティア・NPOセンター2009/01/28
・ワーカーズコープが労働者代表選挙結果を改ざん? なごやボランティア・NPOセンター2009/01/23
・内部告発で「講座参加者数水増し」が露見、逆切れする幹部―なごや・ボランティアNPOセンター
・今度は実体のない出向斡旋 依然不誠実な「なごやボランティア・NPOセンター」の対応2008/12/26
・「なごやボランティア・NPOセンター」依然、経営側の暴走続く2008/12/01
・労働者の味方の筈のワーカーズコープが組合つぶし? なごやボランティア・NPOセンター2008/08/29
・『KY解雇』が発生? 名古屋市の施設の指定管理者交代のその後2008/06/15
・効率重視?指定管理者制度で「なごやボランティアNPOセンター」職員総入れ替え2008/03/22