LOVE&ビンボー春祭り アースデイあいち2008 開催(JANJAN記事)

nagoya_p_net2008-05-13

Esaman2008/05/13
 4月27日、メーデーアースデイ(4/21)の中間の日に、名古屋の中心部、若宮大通公園で『LOVE&ビンボー春祭りアースデイあいち2008』が開催されました。今回の企画は、この1年、さまざまな市民団体がかかわって活動をしてきた反貧困名古屋ネットワークと、2004年から、愛知万博の賛成派も反対派も手を取り合って、愛知で環境問題について活動をしているアースデイあいちとの協働開催で行われたものです。

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 4月27日、メーデーアースデイ(4/21)の中間の日に、名古屋の中心部、若宮大通公園で『LOVE&ビンボー春祭りアースデイあいち2008』が開催されました。

「アースフリーマーケット」の様子。ブルーシートーで作られた「生存のティピ」も見える。

 会場となった場所は、歴史のある商店街で、いまなお老若男女で賑わいをみせる大須商店街と、名古屋の中心部である栄地区との境目にある高架下に広がる公園です。この高架下は、昼夜を問わず、ダンスやバンドの人たちが練習場につかっており、人がたくさんいます。また夜になると、炊き出しも行われています。名古屋に住む人ならば、一度は歩いたことのあるエリアのひとつだと思います。

 今回の企画は、この1年、さまざまな市民団体がかかわって活動をしてきた反貧困名古屋ネットワーク(略称Pネット)と、2004年から、愛知万博の賛成派も反対派も手を取り合って、愛知で環境問題について活動をしているアースデイあいちとの協働開催で行われたものです。

 愛知県下では、行政や企業が「万博理念の継承」と称してアースデイを開催していますが、今回、協働しているアースデイあいちの人たちは愛知万博に反対、あるいは、うんざり、の人達も多く含まれていて、別の運動体です。

 今回の協働にあたり、反貧困ネットでは、いわゆる「デモとかやっている人達」の感性を払拭して、いかに「一般市民」の参加しやすい活動をつくってゆくか、ということを課題に実行委員会で話し合いを続けてきました。また、アースデイあいちでは、万博や、東京などのアースデイの主体になっている「LOHAS」などのスタイルが、実は一部の余裕のある人たちしか共有できなさそうなスタイルである問題点、環環境問題とは、すなわち環境の悪化する地域の人たちの貧困問題である点、場合によっては、フェアトレードなどの商品を生産している地域からの労働者が、名古屋に身近にいたりする点、などが話し合われ「地球のために」とは、身近な貧困問題も一緒に解決してゆくことにほかならない、という話し合いを続けてきました。

 お互いの協働に当たって『貧困も環境も地球の大問題!! このままの地球はイヤン!!』というスローガンを設定して、それぞれの団体の強みをいかして、いろいろな企画を展開してゆくことにしました。また、フリーマーケットを開催して、人の往来を作って、そのつながりのなかから、新しい運動を作っていこう、という提案も出されました。


フリマ会場内で行われた炊き出しの様子。120食が配色された。
 当日は、会場を中心に、アースデイなどでよく見かける北米インディアンのテントである「ティピ」が、野宿者への連帯の意味をこめてブルーシートによって建設されて「生存のティピ」と名づけられました。

 会場には「貨幣経済ちょっと待て、物々交換市」「アースフリーマーケット」「アイヌの店・喫茶チャランケ」「だいたい100円福祉バザー」「法律相談・生活相談窓口」「炊き出し」などの企画が展開されて、足の踏み場もないほどの人で埋め尽くされました。
 フリーマーケットでは、よくみられる不用品や衣料のほかに、外国の雑貨店、手作りのアート作品、無農薬野菜、自作のCDやDVD、自分達の活動の紹介、シンガーソングライターの弾き語り、似顔絵など、さまざまなお店が出されていて、小さなバザールのような状態になっていました。

 また同時に、会場全体にベンチを沢山持ち込んで、往来の人たちが誰でも座って休息できる「エコ路地ーカフェ」も展開されました。ベンチの沢山あるところには、手作りクッキー、フェアトレードのお菓子、薬草茶、なぜか原価より安い飲料なども販売されていて、おだやかな日差しの下、来場した人たちが、思い思いにくつろいでいました。

 会場にやってきた人たちの顔ぶれは、町に買い物でやってきた親子連れ、アースデイ目当てにやってきたどことなくヒッピー風の人、音楽活動をしている人、野宿の労働者、市民活動でよくみかける人たち、などで、雑多な感じになっていました。会場にひしめく何百人という人たちを前に、普段の「市民運動」ではみられない光景に、Pネットの関係者は目を丸くする一幕もありました。

 舞台では、午前中にルーツレゲエのバンド「naturestone」の人たちが演奏をしてくれて、来客と混乱しているスタッフとで雑然としていた会場を、そのアコースティックで心地よいサウンドで、一気にアースデイな雰囲気にまとめてくれました。演奏に際して「電気を使うのを少なくしていけば、原発をなすことができます」と強いメッセージを訴える一幕もありました。さすがは、LOVE&ビンボーに出演するだけあって、ただ演奏が良くてカッコが良いだけでなく、一本芯の通った人たちだと、普段こういった音楽に接することのない「活動家」の人たちにも、共感を呼んでいました。

 舞台ではこのほかにも、反貧困ネットワークで活躍しているウクレレ芸人の、えぐれささしまさんや、板屋信彦さんが演奏の演奏、JANJANの記事でも紹介した眼我真さんの演奏、名古屋で詩の朗読イベントを開催している「言葉ズーカ」の人たちによる詩の朗読などが行われました。

 お昼には、フリーマーケットの会場内で「炊き出し」が開催されました。突然、フリマのお店の並んでいる会場内に、炊き出しの配色を待つ人たちの列ができあがりました。会場内には、フリマの出展者やアースデイの関係者も多く、このような光景を眼にしたことのない人も多いと思います。

 フリマに古着類を出店していた一人は、「炊き出しをやっているのは知っていたけど、実際に見るのは初めて。今回のフリマのタイトルには「ビンボー」が入っているし、募集案内にも趣旨の説明があったので驚かなかった。人の沢山集まる会場で炊き出しを行うのは、普段関わらない人の理解になるし、社会との接点のひとつとして面白いと思う」と語ってくれました。

 炊き出しの後、会場内の一角で「貧困者末端会議P8座談会ーKYマトリクス」が開催されました。この企画は「生権力」について、話し合い場所を作りたいと考えた数人の有志が集まって企画したもので、マトリクスの登場人物に扮装した主催たちが「KY(空気読めない)とは、つまり権力への反抗じゃないでしょうか」などと参加者と話をしていました。今後は「生・権力ガク会」として、時々座談会を開催したいとのことでした。

 KYマトリクスの企画者で、LOVE&ビンボーの命名者の桜マサムネさんに「愛と貧窮」の祭りについての話をききました。

 「いまの世の中には、格差社会ワープアだなどと流行言葉がありますけれども、つまり貧乏ということですよね。貧乏って、本当にツライですよ。金があったに越したことはない。だけど、金で何でも買える社会って、やっぱりツマラナイでしょ。金で買える程度のものに、大した楽しみなんてない。その点、愛は無敵です。よく言うじゃないですか「愛は奪うものではなく、無限に与えるもの」。ケチな資本主義に対抗するには、愛しかないわけですよ。金はないけれど、一緒に騒いでみようと。そしたら友達ができて、無料だけど楽しい、みたいな。なによりも、あのアントニオ・ネグリも言ってるらしいんですよ。「共(コモン)を生産する力は貧困と愛から来る」(3月28日付け中日新聞夕刊 大澤真幸「論壇時評」)

 まさに貧者は愛で連帯してバカ騒ぎしろってことじゃないですか。今まさに、Love&ビンボーによる世界的祝祭が進行しているわけなのです!」


東京からやってきた「黄金の旅団」のみなさん。一緒に写っている猫型パペットは、全国独立メーデーの初日の名古屋で壊れてしまった。
 午後に行われた「愛と貧窮の大行進」と名づけられたデモ行進には、およそ130名の人たちが参加しました。会場には、出店関係者だけでも200名ほど、来場者は延べ1000人近くの人たちがいたのですが、お店の番をしなければいけない人がおおく、出かけられたのは一部の人たちだけでした。

 大行進は東京から応援にかけつけた、自由と生存のメーデー「黄金の旅団」の人たちを先頭に、買い物客でにぎわう繁華街の中心を練りあるきました。行列は「貧困は自己責任じゃない」「貧乏人集まれ」などの色とりどりの旗のほかに、黒旗、赤旗、東京の人たちがもってきたネコ型のパペット(人形)や、名古屋の「アイヌ語に触れよう会」の人たちが民具作成の技術を応用して作成した、全長4mを越す「ねこなまず」の巨大パペットも登場し、異様な光景に、往来の人たちの注目を集めていました。

 大行進で行われたシュプレヒコールは、デモにつきものの「○○はんたーい」の定番のものではなく、「ええじゃないか」の拍子で行われるものや「答えてチョーだい」という拍子に合わせておこなわれるものなど、ユニークなものが多数ありました。

 「再チャレンジはどうなった」「政務調査費はどうなった」「コイズミ改革どうなった」「貧乏人でもいいじゃない」「絶対いうこと聞かないぞ」などとユーモアにあふれ、耳に残るアピールは、通行人へ訴える力が結構あったようで、立ち止まって手を振る人、踊る人などの共感の意を示してくれる人もみられました。また、大行進の通過で止められている車の運転手のなかには、笑い転げている人もいました。

 大行進後の集会では、反貧困ネットの世話人の長谷川市郎さんが「準備がほんとうに大変でした、慣れないこともあって混乱もおこっていましたが、今回の試みは大成功でした。今後のアースデイの人たちと協力して、反貧困の問題、環境の問題への取り組みを、すすめていきたいと思います」と挨拶をおこない、無事終了しました。

 普段の「メーデー」や「市民活動」では、関わりのないような人たちと一緒に開催された愛知の「LOVE&ビンボー」の、今後に注目したいと思います。


アースデイ愛知2008に参加してきた
紆余曲折の末に開催されたアースデイ愛知2008
国連:気候変動は先住民族にとって「生死に関わる」問題
平和都市広島から独自の「反貧困」メーデーを企画
アースデイ東京2008に行ってみた
特集「『愛・地球博』−試される市民の力−」
開幕半年前、市民参加の主役は……(愛知万博の記事)
LOVE&ビンボー春祭り・アースデイあいち2008(協働HP)
反貧困名古屋ネットワーク
アースデイあいち事務局
自由と生存のメーデー2008