ワーカーズコープ、Nさんにも自宅待機命(酒井徹の日々改善)

――就業規則に基づかぬ「自宅待機」命令に道理なし――

http://imadegawa.exblog.jp/8931791/

■イキナリ労組、撤回を要求
なごやボランティア・NPOセンター」の管理・運営を
名古屋市から委託されているNPO法人・ワーカーズコープは、
愛知県の個人加盟制労働組合名古屋ふれあいユニオン
ワーカーズコープ分会(名古屋イキナリ労組)委員長の
柴田太陽さんに続き、
8月26日、
組合員で今年5月の不当解雇(KY解雇事件)〔注1〕の
被害者であるNさんにも
「自宅待機」を命令した。

〔注1〕KY解雇事件が
Nさんに対する不当解雇であったことは、
もはやワーカーズコープ自身が公式に認めている。


しかしNさんに対する「自宅待機」命令は
就業規則上何らの根拠も持たないものである。

Nさんは26日に出勤すると、
突然、ワーカーズコープ理事会が
「なごやボランティア・NPOセンター」について
「非常事態」を宣言し、
「運営に必要な判断は、
 内部の話し合いを一切経ずに、
 理事会の指揮のもとで所長が行えることを決定した」
(ワーカーズコープ8月18日付文書原文ママ
 8月22日理事会決定で追認)ことを知らされた。
そして、
「8月22日理事会決定に基づき、
 所長松垣芳伸の当事業所での業務指示の全権限を承認し、
 従うことを誓います」とする
「誓約書」に署名・捺印するよう、
所長の松垣芳伸氏と総務部長の平山清一氏の両氏に
迫られたのだ。

しかしNさんには苦い経験がある。
前回5月の不当解雇の際、
Nさんは上司に呼び出され、
突然
「君、もうここには居られないよ」と言われ、
ショックのあまり「わかりました」と口走ってしまった。
このことが後に
Nさん自身が不当解雇を「了承していた」証拠とされ、
ずいぶんと苦労したのである。

だからNさんは、
安易に「誓約書」に署名したりすることには
今や慎重になっていた。
このような「誓約書」に署名してもいいのか、
労組の仲間たちとじっくり検討したいと思い、
「内容について検討し、考えたいので、
 署名・捺印に関しては保留したい」との旨の回答をした。
するとワーカーズコープ側は、
所長の松垣芳伸氏と総務部長の平山清一氏の二人がかりで
「書けないのはおかしい」、「なぜ書けないんですか」
などと口々に威圧的な態度で求め、
あくまでその場で署名させようと強要した。

「なぜ書けないんですか」。
自分たちが今年5月にNさんに対してやったことを考えれば、
答えはおのずから明かであろう。
ワーカーズコープはNさんの解雇が
「不当解雇」であったことを認めながら、
いまだにその反省が生かされていない。

Nさんは必ずしも、
署名を拒絶するつもりはなかった。
ただ、
「事業所での業務指示の全権限を承認」という、
自らの労働環境に重大な関連のある事項については、
労組の仲間と相談の上、
慎重に事を運びたいと思っただけだ。

それなのにワーカーズコープ側は、
そんなNさんに、
署名・捺印できないならば帰宅するように命令した。
前日の柴田太陽委員長に続く
自宅待機命令である。

はじめにも言ったがこの「自宅待機」命令は、
何ら就業規則の定めに基づかないものである。
現在の就業規則においては、
「自宅待機」については第70条で、
「理事長は、懲戒処分の対象とされた組合員に対し、
 懲戒処分が決定されるまでの間、
 必要に応じ、自宅待機を命ずることができる」と
あるのみである。
それ以外の場合に理事会が
職員に自宅待機を命じることができるという規定は
どこにもない。
Nさんは別に、
26日の時点で何らかの懲戒処分が
検討されていた事実はないのである。

確かに新所長の松垣氏は、
ワーカーズコープ理事会から
全権委任を受けているのかもしれない。
しかしそれは、
あくまで『理事会から』全権限を委任されているに過ぎないのであって、
そもそも理事会すら保有していないような権限を
勝手にふるうことはできないのである。

現在の「なごやボランティア・NPOセンター」のありようは、
確かに「非常事態」である。
それは個々の職員の問題ではない。
「理事会の全権委任」の威を借りて、
「内部の話し合いを一切経ずに」あらゆる横暴がまかり通る
松垣新所長の独裁体制のことを指して言うのだ。

無論、
多様な考えを持つ個人が集まってできている組織である。
意見の対立もあろう。
最終的に多数決なり何なり、
ルールに則って運営がなされるのは当然のことだ。
しかし、
仮にも「民主経営」・「協同労働」を標榜する団体が、
「内部の話し合いを一切経ずに」所長独裁に逃げ込もうというのは
いかがなものか。

「非常事態」であればそれが許される、という考えは、
戒厳令を布告して独裁体制を正当化する
独裁国家指導者と何ら変わるところがない。
「非常事態」であればこそ、
より一層 職員相互の意思疎通、
率直な話し合いが必要とされているのではないか。

現状の「なごやボランティア・NPOセンター」は、
「会議」を開いても本部から派遣されてきた所長が
ただ用意した文章を読み上げるだけ。
現場からの提案があっても
「今日はそういう会議ではない」と話すら聞かない。
本当にこれでいいのだろうか。

現場で働く一人一人が
民主的な討議によって職場を動かす
本来の「協同労働」のあり方に一日も早く立ち返らなければ、
現場の混乱はますます大きくなるだろう。

名古屋ふれあいユニオンは26日、
ワーカーズコープ分会である名古屋イキナリ労組とともに
半強制的な誓約書への署名・捺印の要求と
就業規則に基づかないNさんへの自宅待機命令を
撤回するようワーカーズコープに求めた。

翌日27日、Nさんが署名・捺印した「誓約書」を用意して
「なごやボランティア・NPOセンター」に出勤すると、
松垣芳伸所長は、
「署名はしなくていい。
 口頭で誓約してくれればいい」と言いだし、
前日 自宅待機まで命じて署名を強要しようとしておきながら
あっさりとNさんの就労を認めた。
Nさんは現在、通常通り就労を再開している。

私たちは一日も早い
「なごやボランティア・NPOセンター」の正常化、
所長独裁のもとでの威圧的な「正常化」ではなく、
「協同労働」の理念に照らした真の正常化を強く求める。


【参考記事】
『KY解雇』が発生? 名古屋市の施設の指定管理者交代のその後
名古屋イキナリ労組、ふれあいユニオンに合流
インタビュー:ワーカーズコープに労組ができました
ワーカーズコープは労基法を守れ!
自治労・ワーカーズコープ職員ユニオン誕生!


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