東海生活保護利用支援ネットワークが生活保護支援の研修会を開催

Esaman2009/02/14
生活保護支援のボランティアのための研修会が開かれ、パネラーからは、1人で生活保護の申請にいくと追い返されることが多いが、弁護士や司法書士などが一緒にいくと、なんの問題も無く通ることが多い。これは、本来的にはおかしい。生活保護は誰でも申請できる権利の一つであるなどの話が出されました。参加者の何人が実際にボランティアなどの協力ほしてくれるのか、よくわかりませんが、それでも、期待したいと思います。

http://www.news.janjan.jp/area/0902/0902066901/1.php

会場の様子。たくさんの人が参加している。会場の様子。たくさんの人が参加している。

 2月5日、東海生活保護利用支援ネットワークの主催で、生活保護支援ボランティアのための研修会が開催されました。会場は金山にある司法書士会館です。東海生活保護利用支援ネットワークは、結成されてまだ間もないネットワークです。2007年に開催された生活保護制度を考える集会で、結成の話が出ていたものです。会場には、100人近くの人たちが集まっており、パネラーの話に耳を傾けていました。会場にはカメラを構えたマスコミの姿もありました。 

パネラーの話を、ごく簡単にまとめます。

弁護士の森弘典さん、司法書士の水谷英二さんの話 

一人で生活保護の申請にいくと、ケンモホロロに追い返されることが多いが、弁護士や司法書士などが一緒にいくと、なんの問題も無く通ることが多い。これは、本来的にはおかしい。 

また、法律家が一緒に行っても、おかしな対応をされることもある。悪名高い北九州では「北九州ではこうしています」ということで、申請に付き添うのを邪魔したり、書類を受理しなかったりした。これは法的には全く根拠の無いことです。 

 生保の申請に同行しようとすると「プライバシー」を理由に断られることがありますが、本人の同意があれば大丈夫です。 

 また、それでも「家族のプライバシーが」などといって断ってくる場合もありますが、友達同士で家族の話をしてもプライバシーの侵害にならないのと同じく、本人の同意があれば問題ありません。 

 若い人などが申請に行くと、ひどいことをいわれて追い返されることが多いですが、これも法的には全く根拠の無いことです。実際、弁護士などがついていくと、何もいわれずにすんなり通ることも多いです。ひどい話です。


カメラを構えるマスコミの姿も。カメラを構えるマスコミの姿も。

笹島診療所の藤井克彦さんの話 

 中村区役所は、連日の支援の監視の中で、急速に変わりつつあります。行政は、働ける人は、とにかく自立支援センターに入れたがります。その際には「生保だと働いて稼いだら返さなくてはいけないが、自立支援センターだと全部自分のもの」という説明をして、多くの人がだまされてしまいますが、生保の場合、稼いだ額が多かったら戻しているだけで、損をするわけではありません。 

 このような対応に対して、名古屋市を批判するだけでは不十分です。まずは自立支援センターに入れる、というのは厚労省が言っていることですから、国のレベルで変える必要があります。 

 中村区役所には、連日100人の人が並んでいますが、新規の人は、平均するとだいたい15〜20%です。 

 また、行政は、生活保護の申請を前提としたアパートの入居を斡旋していますが、そのアパートが果たして当事者にとってよいかどうかは、まだよくわかりません。時間も余裕も無いので、ゆっくり考えることができません。 

 たとえば、生活保護の需給が行われる通帳を業者が預かっていたり、月の途中から入った場合、料金を日割りで支払うはずが1ヵ月分全部取っていたり、といった例が見られて、その都度、抗議して止めさせています。 

 最後に、このネットワークの代表で、法テラスの代表でもある、弁護士の内河惠一さんが挨拶をして、終わりました。 

 この方、若い頃に生活に困って生活保護を申請したことがあったそうです。そのときに「嫁が来なくなる」などと言われたそうですが、実際には、立派な嫁も来て、弁護士にもなれたわけで、生活保護は誰でも申請できる権利の一つである、という話をされていました。 

 集会が終わって出る直前、参加者の一人に「支援の方ですか」と声をかけられて、実際に「支援」を何度もしたことがあるので、ボランティアへの参加を希望しているのかと思い「そうですよ」と返答すると…… 

 「アパートに入居しても、どこかに行ってしまう人はいるのではないか」などと聞いてきます。たしかに、野宿生活が長いと、自炊生活が難しい人もいますが、そのような方をサポートする食事会などもありますよ、と返答するが、なにやら納得のいかない感じで「仕事はいくらでもあるんじゃないのか?」などと聞いてきます。 

 生保を取ってアパート暮らしをした人たちの行く末を心配しているのではなくて「働かない怠け者」との証言をほしがっている様子だったので「いまは、仕事は20代の人でもありません。ハローワークでも資格要件の無い仕事はゼロ。何年も派遣で働いている人は余裕も無く、運転免許すら取れない人も多いですが、これは自己責任ではありません。また、ある程度の年齢の方の場合、病気などもあり、働けというのが非現実的な場合もあります。ハローワークなり、生保の窓口なり、実際に現場を見に行かれたことは?」と聞き返したところ、どこかに消えてしまいました。 

 なんともはや、何をしに来ているのか、という反応なのですが、生活保護支援のための研修会ですら、そういう人が居るのかと、少し驚いた次第です。まだまだ「生活保護を必要とするのは、仕事をしないナマケモノだ」という偏見が根強いということでしょうか? 
 会場に集まっていた人たちのうち、何人が実際にボランティアなどの協力をしてくれるのか、イマイチよくわかりませんが、それでも、期待したいと思います。

生保申請の現場について対談する水谷さんと藤井さん。生保申請の現場について対談する水谷さんと藤井さん。


●東海生活保護利用支援ネットワーク
052−911−9290(電話受付:火・木13時〜16時)

集会名 愛知派遣切り抗議大集会
日時 2009年2月22日 午後1時から午後4時まで
場所 東海テレビ・テレピアホール 入場無料 
主催 愛知派遣切り抗議大集会実行委員会
実行委員長 弁護士 宇都宮健児反貧困ネットワーク代表)

●集会内容
1、派遣切り、雇用止め当事者の報告
2、派遣法についての緊急特別立法対策について
3、緊急融資制度の紹介、議員からの報告、意見表明等
4、日弁連、年越派遣村実行委員会等からの報告
5、全国の派遣村の状況、ワンストップ相談会について

●集会後、東海テレビから名駅ミッドランドまでデモ(2.8km)


◇ ◇ ◇
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