なごやボランティア・NPOセンター 当局の大掃除で大混乱

さとうしゅういち2009/04/13

 「なごやボランティア・NPOセンター」労働組合の柴田委員長への嫌がらせなどが相次いでいる。4月、2009年度が始まると当局側は、ある日、突然、一言も説明もなく、勝手に「大掃除」を強行し、柴田委員長の私物や利用者から預かった資料などが行方不明になってしまった。

http://www.news.janjan.jp/area/0904/0904111351/1.php

今度は勝手に嫌がらせ同様の「大掃除」が行なわれ、業務が混乱している(撮影筆者) 今度は勝手に嫌がらせ同様の「大掃除」が行なわれ、業務が混乱している(撮影筆者)

 名古屋市伏見区にある「なごやボランティア・NPOセンター」は、2008年度から、NPO法人ワーカーズコープ(労協センター事業団)が指定管理者を勤めています。同法人は、「労働者と経営者」を一体化させ、労働者が資本家に収奪されるという資本主義の弊害を防ぐという立派な「協働労働」の理念を掲げています。



なごやボランティア・NPOセンターは、2008年度から、NPO法人ワーカーズコープ(労協センター事業団)が指定管理者を勤めていますが、センター事業団当局により、いわゆるKY解雇事件に端を発し、Yさんに常勤化を約束しながら、あべこべにシフトを減らすなどの問題が相次ぎました。


 さらに、全国から、本部事務局員=当局派を送り込み、当局に都合のよい人が選ばれるようにすべく、労働者代表選挙を強行、それでも当局にとっては結果が不十分なため、さらに投票結果を改ざんするなどの疑惑も次々浮上しています。


ワーカーズコープが労働者代表選挙結果を改ざん? なごやボランティア・NPOセンター JanJan
会議から労組員を排除……ルール無視 「私が決めた」と居直る幹部 JanJan


 このような状態から3ヶ月近くたち、年度も替わったことですから、心機一転、少しは事態が改善に動くか、と私もわずかながら、期待していました。しかし、労働組合関係者に取材したところ、事態は改善するどころか、悪化したまま、年度を越えてしまったそうです。

 第一に、柴田委員長ら労働組合員は、職場の会議から排除されたままです。ワーカーズコープ当局は、不当な労働者代表選出に抗議をした労組組合員らにたいして「反省文を書け」と迫っています。柴田委員長らは、身に覚えがありませんから、当然、反省文など出すわけがありません。そこで、当局側は、ワーカーズコープ組合員としての権利である、職場の運営のための会議への出席を停止したままです。
 
 このほかにも、色々な『冤罪』をでっちあげ、反省文を書くように迫っています。
まず難癖をつけて反省文を書くように迫るのは、ワーカーズコープ(労協)が組合員を支配する常套手段であり、どうも、全国各地で行なわれている「労組つぶし」の常套手段のようです。

■虚偽の情報利用者に吹き込む

 第二に、当局側の職員は、利用者に対して、「労使紛争」などない、あるいは、「あれは労働組合が一方的に悪い」など、虚偽で一方的な情報を吹き込んでいるそうです。
 
 そうした中、JANJANの記事などを見た利用者が心配して、窓口にいた職員=組合員にたまたま「どうなっているのか」と聞いてきたところ、組合員は「現在、労組と当局は係争中ですが、NPOセンターの運営には支障をきたさないので、ご安心ください」程度のことを回答したそうです。
 
 このように、「事実を、一般常識では、支障のない範囲」で回答しただけのことにたいして、松垣所長は反省文を要求。まず、利用者にたいして虚偽の説明を行い、より不安に陥れた職員に事実を確認すべきだと返答したところ、事実の確認すら行っておらず、係争中であることを表に出すなと言い、さらに、反省の意思がないなどと『難癖』をつけてきたそうです。

■勝手に「大掃除」、業務に支障

 そして、2009年度が始まると驚くべき事件がおきました。なんと、当局側は、ある日突然、労組員には一言も説明もなく、勝手に当局側の職員の実で「大掃除」を強行してしまったのです。その結果、柴田委員長の私物はもちろん、「利用者からお預かりした資料、仕事に使っていた資料などがことごとく、行方不明になってしまった」そうです。
 
 そして、日々の業務にも支障が出ているそうです。「当局」派の人たちはワーカーズコープの宣伝活動に従事することが多く、実際の利用者への対応は、元からいたセンターの職員、が担っているのですが、利用者への迷惑も顧みず、当局側は柴田委員長の私物も含め、職場の机周辺のすべての「物体」をなんの断りもなく「きれいに掃除」してしまったそうです。
 
 その中には、職員の私物はもとより、利用者から預かっていた物や、仕事に使っていた資料なども多数含まれていたそうです。そして、仕事を続けるためにゴミ箱の中から荷物を取り出して使用していると、それをしつこくまたゴミ箱に捨てる、などの嫌がらせ続いているそうです。これでは、労組への嫌がらせだけでなく、利用者への利益も損なっている、とのことでした。

 労働組合自治労ワーカーズコープ職員ユニオン)関係者は「労働組合への嫌がらせのために業務を犠牲にしている」と憤りを隠しません。

 指定管理者受託から1年以上。しかし、ワーカーズコープ=センター事業団当局の態度は改善するどころか、開き直りに終始し、悪化する一方です。

 業務など、二の次。労働組合つぶしが最優先。こんな状態になっています。協働労働どころか、民間企業や役所でも当たり前のことすら守られていない状況がまだ続いていることに、いまさらながら、改めて驚嘆せざるを得ません。


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