「なごやボランティア・NPOセンター」依然、経営側の暴走続く(JANJAN)

nagoya_p_net2008-12-01


さとうしゅういち2008/12/01

「なごやボランティア・NPOセンター」の勤務で20万円以上を稼ぎ、ほかの仕事でも収入があったYさんが、いまは10万円以下、生活保護基準以下の生活を強いられています。家賃も滞納、病院にも通えず、糖尿病は悪化しつつあります。経営者であるワーカーズコープは、このような状態を放置すべきであはありません。

http://www.news.janjan.jp/area/0812/0811292477/1.php

 「なごやボランティア・NPOセンター」では、2008年度から「ワーカーズコープ」が指定管理者になりました。職員(≒名古屋イキナリ労組組合員)たちにより「交流感電池」など、公務員では二の足を踏んでしまうような面白い取り組みが行われる一方で、経営者のワーカーズコープは暴走が相次ぎました。

 5月のいわゆるKY解雇事件、8月におきた労働組合の柴田委員長らに対する松垣所長による、独裁的な対応などはすでにJANJAN上でも報道されています。労働組合「名古屋イキナリ労組」は、その後、わたしも所属する自治労に加盟をし、ワーカーズコープ(経営側/当局)側との交渉を行ってきました。

 だが、驚くべきことにそれから3ヶ月近くたった今になっても、問題は解決していないどころか、悪化しています。労使交渉中は、信頼関係保持のためにも、外への情報発信は控えるのが普通です。しかし、そういう関係は壊れてしまっていることがわかりました。  
 11月28日、帰宅途中で電車乗車中の私の携帯電話に、現地の労組関係者から不在着信があったため、不吉な予感がしてこちらからかけなおし取材しました。現在、以下に記す状態になっているそうです。

NPOセンターで起きている異常事態を伝える労働組合側のチラシ
NPOセンターで起きている異常事態を伝える労働組合側のチラシ


常勤化を約束しながら給料半減
 非常勤職員・Yさんは「8月15日から常勤にする」と、多数のコープの幹部が立会って約束しておきながら(8月3日)、むしろ、勤務時間を激減させるという暴挙を行っています。Yさんはフリーのカメラマンでしたが、常勤になれるということで、ほかの仕事の依頼を断りました。

 ところが、8月15日になっても、常勤になれないどころか、8月27日、 「来週から勤務は月6日になる」と言い渡されてしまいました。自治労と当局の交渉で、かろうじて、月14日勤務に戻りましたが、8月までは20万円あった月収が10万円に半減。
手元に残る金額は、生活保護の基準額よりもはるかに少ないのです。糖尿病を患いながら生活しなければならないYさんは今、「生活保護申請をしなければならないのではないか」と、真剣に悩んでいます。

あまり勤務していない所長の怠慢
 松垣芳伸さんは、所長として「怠慢を通り越した状態」にあり、NPOセンターには普段あまり勤務していないそうです。そして、たまに出勤してきたと思えば、名古屋市から委託されたNPOセンターとしての仕事をろくにせず、ワーカーズコープの宣伝ばかりをしているそうです。これは、「名古屋市から請けおった仕事をまじめにしていない」という意味で大問題ではないでしょうか?

 そして、所長は、職員(組合員)から質問を受けても、「わたしがわかるわけがないでしょ」と、木で鼻をくくったような対応をしているそうです。一方で、都合のよいときは「理事会での決定」を盾に、「所長独裁で暴走続く、なごやボランティア・NPOセンター」でお知らせしたような独裁的な対応をするのです。

 労働組合との交渉も「逃げ回っている」ような観がある、といいます。名古屋市役所に対しても、仕事についてあまり報告は行わず、したとしても「労組が悪い」という報告しかしないそうです。たまりかねた職員(労組組合員)が、実態を名古屋市の担当者に話したら「びっくりされた」というわけです。

NPOセンターで起きている異常事態を伝える労働組合側のチラシ
NPOセンターで起きている異常事態を伝える労働組合側のチラシ

ワーカーズコープは約束を守れ
 ワーカーズコープは、経費を削減するなどの対応はとっていないようです。8月の終わりから、センターには東京の本部から「えらい人」が送り込まれてきましたが、何をするでもなく利用者用のフリースペースに昼寝などで居座っていました。 

 一方で、突然起き上がったと思えば、職員に対して突然誓約書の提出を強要し、応じなければ自宅待機を命ずるといった許しがたい不当労働行為を行っていました。彼らの旅費やホテル代を出すだけの余裕があるのであれば、Yさんを常勤職員として雇うべきではないでしょうか?

 労働者協同組合は、「労働・出資・経営」を一体とし、搾取がおきないようにする、もって、資本主義の弊害から労働者を守る、というのが出発点のはずでした。ところが、残念ながら、「労働者が経営者」ということがだけ強調され、「労働者に労働者としての保護さえ与えない」という実態になっているのではないでしょうか?

 NPOセンターの勤務で20万円以上を稼ぎ、ほかの仕事でも収入があったYさんが、いまは10万円以下、生活保護基準以下の生活を強いられています。家賃も滞納、病院にも通えず、糖尿病は悪化しつつあります。

 このような甚だしい生存権侵害をそのままにして、どうやって、ボランティアやNPO活動の支援拠点をつくって行くことができるのでしょうか? ワーカーズコープは、Yさんの労働者としての権利と人間としての尊厳を尊重し、 速やかにYさんを常勤職員にするべきです。

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