6・9行動集会報告

マイクを持って発言する女性ユニオン名


         6月9日「貧困に反対する」名古屋行動集会報告

 栄噴水前でのプレイベントには、野宿労働者を中心に80人以上が集い、食事を共にし、サムルノリや和太鼓の演奏、反戦歌を楽しみました。午後1時に、近くの教育館に移動、100人を超える参加者があり、終始熱気のある集会になりました。

 <集会発言要旨紹介>

         長谷川さん(集会実行委員)

 「格差社会」と言われるが、貧困は階級化している。立場の違いを超えて、まずお互いの理解を深めたい。貧困の原因は、不安定な労働、福祉政策の後退とともに、取り組みの立ち遅れがある。連帯してたたかっていこう。

         坂さん(女性ユニオン名古屋)

 28年間、銀行で時給900円のパートで働いてきた。様々ないじめ、差別にあい、蕁麻疹がでたこともあった。格差社会が進んだというが、女性はずっと貧しかった。労働組合が必要だ。しかし、今の組合は正社員中心、パートのためのユニオンが、さらにジェンダーの視点をもった組合が必要と考えた。韓国に行ったら、様々な女性組織があった。日本でも女性の全国センターを立ち上げた。その一環として、名古屋で女性ユニオンを3月10日に結成した。事務所も専従もないが、ケイタイを持って、私は歩く事務所として頑張り、団交も始めた。
 電話相談では、パワハラのためにメンタルな疾患を抱えた人が非常に多い。解雇の不安におののきながら、シングルマザーが泣きながら電話をかけてきた。労組にも責任がある。悪法がどんどん成立しているが、反対の活動が非常に少ない。パート労働法を知ってますか? 私は3つのハードルをクリアしているが、銀行は、「年収200万円で、正社員の仕事をしろ」と言ってきている。年収1000万円の人とほぼ、同じ仕事だ。
 今たたかわなければ、規制緩和を放置すれば、20年前のニュージーランドのようになる。一度壊れた社会は簡単には元に戻らない。非常の苦痛と混乱が伴うのだと、戦慄さえ覚える。

        藤井さん(笹島診療所)

 名古屋市は、「以前1788人だった野宿者が741人になった」としているが、各種施設にかなり入っていることを忘れてはいけない。野宿者の職歴を見ると、最長職では正社員が68%だが、直前職では50%弱になっている。正規から不正規労働へ、そして野宿へという流れがある。野宿の最大の原因は、失業・失職、収入の減少であり、建設日雇いだけでなく、他の不安定な職の人も野宿となっている。現在の仕事は、廃品回収が一番多い。年齢も高齢化が進んでいる。
 野宿や貧困は、就労の場や社会保障などからの社会的排除の結果である。
 生活保護は、「無差別平等の原則」で適用されるべきものだ。しかし、「定まった住居がなければダメ」「若い人はダメ」「働ける人はダメ」という違法な運用がされている。行政は、「まず施設に入れ」というが、法律では「居宅保護」が原則であり、施設収容主義は間違っている。
 自民党は「ホームレス(のテント)が皇居や大阪城の本丸にまで迫って来た、何とかしなければ」という問題意識であった。「ホームレスが激減した」というが、公園のテントや小屋の撤去に熱心な大阪・東京・名古屋での減少人数が全国の8割を占める。テントなしや河川敷等に野宿をせざるを得ない人が増えている。野宿者を襲撃した少年たちは、「社会のゴミを片付ける」と言っていた。名古屋市では、自立支援施設、生活保護施設などの各種施設に暮す人々が私の計算だけでも2300人、野宿者の3倍いる。ヨーロッパの概念ではこの人たちはホームレスだ(ネットカフェの若者も)。貧困は、「怠け者」の問題ではなく、失業などの社会問題が原因であることがわかり、社会保障が始まった。貧困問題を個人的問題としてではなく、社会問題として、みんなで考えよう。

        小島さん(わだちコンピューターハウス)

 今日は障害者福祉に関わる人は少ないようなので、細かい話しはしない。障害者も日雇いも女性も皆、社会で弱い立場の人だ。弱い立場の人が何故増えたのか? 小泉政権以降、アメリカ型自由社会になった。どんな競争社会も勝ち組と負け組ができる。弱い立場の人は社会的には負け組みだ。しかし、安い賃金で働いている人が社会の底辺を支えているのはまぎれもない事実だ。
 昨年の4月から、障害者自立支援法で、利用料の1割負担という問題が起きた。厚労省に、1万人規模の集会を2回、数千人の集会を数回もって抗議したが、法案は通った。厳しい現実だ。
 作業所で働く障害者はサービスの利用料を払わなければならない。わだちコンピューターハウスは全国でもトップレベルの作業所だ。だから、問題提起しなければならないと考え(利用料不払いを宣言し)、県と市に直談判した。多少の成果があり、名古屋市は利用料を緩和した。
 愛知県内の障害者が働く作業所や施設の平均月収は皆と同じ勤務時間等のように働いて1万円です。にもかかわらず、利用料は1万5千円、食費も1万5千円払え、という。一般企業で障害者が採用されるようなら問題はないが、現実は面接で門前払い。勤めてもリストラされたり、人間関係に悩んだ末、わだちコンピューターハウスの門を叩いてくる。
 藤井さんの言うように、貧困は個人的な問題ではなく社会の問題。名古屋市庁や県庁を包囲するようなたたかいをやりませんか? なし崩しでは底辺は広がる。憲法25条は生存権を保障している、と訴えるべきだ。