女性ユニオン名古屋メールニュースから

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女性ユニオン名古屋メールニュース第1号
2007年6月23日               

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名古屋銀行、改正パート法の抜け穴を利用した暴挙?!


名古屋銀行パート団交についてお知らせします
今年5月、改正パート法が成立しました。
これは非正規雇用の骨格に関わる重要な改正でしたが
あまりマスコミでは報道されていません。

日本のパートは労働時間が正社員とほぼ変わらないほど
長い場合が多いにもかかわらず、その待遇は悪く、
ひとりで生活していくにはとても足らないほどです。

本来この改正は、このパートの問題を解決し、
「均等待遇」にしていくためのものでした。
ですが政府が最終的に出してきたものは、
「差別禁止」の対象とするパートを非常に狭く限定し、
実際に働いているパートのわずか3%にも満たない部分にしか
該当されない改正でした。

そして、「幽霊」ともいわれたこのごくわずかの部分に
該当するのが、名古屋銀行パートの坂喜代子(ばん・きよこ)さんでした。
女性ユニオン名古屋は、この問題をめぐって団交を始めました。



1 坂さんってどんなひと?
→パートで26年間勤続の銀行オペレーター、坂さん


坂さんは、28年間名古屋銀行のパートタイマーとして、
オペレータの仕事を週6日(平日は8時45分から16時、土曜は15時頃まで)
続けてきました。
オペレーターは普通預金当座預金・定期・積立・保育料・
駐車料金等の引き落とし・残高照会・通帳記帳等あらゆるものを
端末機に打ち込む作業です。
初期の端末機は今のパソコンとは違い鍵盤が非常に重く、
4台の端末をひとりで動かすきつい作業で、
坂さんは腕・肩を動かせない病気にかかってしまいました。
銀行は退職を迫りましたが、坂さんは労災の認定を求めました。
それでも銀行は労災隠しに奔走しましたが、坂さんの闘いは
労基署からも認められ職場復帰を勝ち取ります。

職場復帰をするものの、銀行は坂さんの存在を無視し
いじめを続け、坂さんは精神的に参ってしまいます。
ですが同じような患者会の人びととの交流やパートでも入れる
組合への加入などの努力によって、支援者も現れてきます。

自称「普通の主婦」だった坂さんは、このような、
銀行のために働いて身体をこわしてしまったパートを
切り捨てようとする銀行とそれを許す社会のあり方に疑問を持ち、
均等待遇を求める活動を少しずつ始めていきます。


2 均等待遇って?
→均等待遇とは雇用形態や職種による差別をなくすこと


今の日本では様々な働き方をしているひとがいます。
坂さんのようなパートや、学生のアルバイト、フリーター、
派遣、さらに日雇いなどなど。
女性の半数以上が非正規雇用であるように、
フルタイム・終身雇用の正規雇用ばかりが
労働者ではありません。
ですが現状の社会システムは正規雇用には高い賃金を
自動的にあてがい、年金・税制・保険などの社会制度も
正規雇用の男性を優遇しています。

均等待遇の考えは、雇用形態や職種による差別をなくし、
このような格差のある現状を変え、
すべてのひとが労働の価値を認められ、
自立して生活していけるだけの賃金・待遇を保障される
社会に変えていこうとするものです。



3 改正パート法は均等待遇に役に立つの?
→1〜3%のパートの差別だけを禁止する改正パート法


均等待遇の考えに基づいて始められたはずのパート法改正は、
差別禁止の対象をごく狭い範囲の短時間労働者に限定しました。
それは3要件というもので
○職務の内容と責任の程度が正規雇用労働者と同一であること
○雇用期間の定めがないこと(反復更新によって定めがないと
見なされる場合を含む)
○配置変更・転勤が正規雇用労働者と同等であること
という3つです。

ですがまず、正規雇用と同じ時間働いても待遇は低い
いわゆる「疑似パート」には、「短時間労働者」ではないという点で
この法律は対応しません。
また短時間の場合でも、パートの女性は多くが家庭責任を
担っていて、正社員のようなほとんど強制的な転勤をすることは
そもそも無理だからパートという立場を選ばざるを得ない人びとが
多数派です。そのような人びとには対応しません。

結局、該当するのは3%以下と見られ、1%に満たないという
データもあります。
この改正は、均等待遇を実現するために役に立つどころか
足を引っ張るものだという批判もあります。


4 坂さんは幽霊?
→実は、坂さんは、改正パート法のわずかな差別禁止対象に該当!


ですがその3%以下、幽霊ともいわれた存在に該当するのが坂さんです。
坂さんは、課長や係長にも匹敵するような責任の重い仕事を
こなしながら、労働時間が正社員より1日1時間15分短いというだけで
時給は現在900円、月給は週5日働いて83,520円です。
毎年の契約更新を30数回繰り返し、配置変更・転勤も経験しています。

女性ユニオン名古屋は、坂さんの均等待遇を求めて
名古屋銀行と交渉を始めました。
ですが銀行が出してきたのが「パートタイマーの嘱託及び
行員転換制度」です。

5 名古屋銀行の転換制度
→パート法の適用を逃れるための、「嘱託・正社員転換制度」


これは急遽今年5月31日に名古屋銀行が出したもので、
これまでのフルタイムパートを廃止し、希望者には
「嘱託」への転換を可能とするものです。
この「嘱託」は、労働時間は正社員と同じ「1806時間」ですが
年収水準は「200〜270万円」と正社員よりずっと低く設定されていて、
この規定自体が均等待遇に反しています。
しかもこの嘱託への転換試験を希望しないパートには
「短時間パート」として従来通りの劣悪な待遇を規定しています。

目的も不明確なこの転換制度には次のような意味が
あると女性ユニオンは考えています。
まず、今まで正行員より労働時間が1日15分短いだけであった
フルタイムパートを、15分延ばして正行員と同時間にしたことで
改正パート法の差別禁止対象から逃れることができます。
ですが賃金・待遇は今までと同じ、正行員の年収の
3〜4分の1のままです。

改正パート法の限界を悪用した、パートさんの
関係性も引き裂く、卑劣なやり方ではないでしょうか。



6 第1回目団交を行いました
名古屋銀行、だんまりを続ける!


以上の問題を受けて6月15日に、第1回目団交を行いました。
女性ユニオンは均等待遇を求め、転換制度の撤回と
坂さん始めパートの労働条件の是正を主張しました。
ですが銀行側は、ユニオンの主張には応えず、
「転換制度に乗ってほしい」と繰り返すだけでした。

わたしたちは、名古屋銀行が均等待遇の考え方を
少しでも理解し、実現に向けた努力を始めることを望んでいます。
また改正パート法はこれから指針作りが始まりますので
法律の限界はあるものの、名古屋銀行の転換制度のような
悪用を許さない、均等待遇の精神を少しでも反映する指針と
なることを目指しています。
均等待遇は、非正規雇用の改善だけではなく、
今の日本の正規雇用の深刻な実態、過労死にも至りかねない
働き過ぎの状況をも変えることを望むものです。
以上のような目的のもと団交を続けていきますので
どうぞみなさんのご支援をお待ちしております。



今回のメールニュースは問題のおおよその姿を
お知らせするために、大急ぎで作成しました。
このなかでももっと説明したいことがたくさんありますので
これからどんどん作っていきます。
次号は坂さんの手記を紹介したいと思います。

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