NO 貧困〜名古屋行動集会(8)LOVE&ビンボー春祭りのアーティスト(JANJAN記事)

徳林寺の勝手舞台で演奏する眼我さん。

Esaman2008/04/14

http://www.news.janjan.jp/area/0804/0804034152/1.php

徳林寺という禅寺で、4月27日に予定されている「LOVE&ビンボー春祭り」に出演予定のミュージシャン、眼我真さんと偶然あいました。『勝手舞台』というものが設置されていて、眼我さんは、その舞台で演奏をしていました。そこで、お話を聞きしました。

 名古屋市天白区に相生山(あいおいやま)という名前の小高い山があります。天然記念物である陸生のホタル、ヒメボタルが生息している緑豊かなところです。周辺地域は住宅地として開発されていて、それなりに開けているのですが、この山の上はあまり開発の手が入っておらず、とても静かでよいところです。

 4月6日、その山の上にある徳林寺という禅寺の花祭りに出かけたところ、「LOVE&ビンボー春祭り」に出演予定のミュージシャン、眼我真さんと偶然あったので、話を聞きました。花祭りの会場には『勝手舞台』というものが設置されているのですが、眼我さんは、その舞台で演奏をしていました。ギターを鳴らしながら、独特の間合いのある、曲と微妙にあっていない感じの歌を、延々と歌います。なんともいえない味のある演奏です。

Q:眼我真さんは、何者なのですか?
A:本名は荒金誠といいます。現在は、平日はサラリーマンをしつつ、土日は自分の店でカレー屋(インド料理ガンガー)をやっています。カレー屋は、心の中での本業です。

 カレー屋は16年前からはじめました。はじめは名古屋市博物館の前に画廊を兼ねた店を構えていましたが、12年前に平針に自宅をかねた店舗を開店しました。7年前に博物館前のお店は閉じて、平針のお店をやっていましたが、最近、お客も減ったのと、音楽をメインの活動にしたくなったので、現在はシンガーソングライターとして活動しています。活動しているといっても、好きで歌っているだけで、プロではありません。

Q 音楽活動をはじめることになったきっかけは?
A:音楽活動は、30年ほど前のハタチのころに、会社の忘年会で歌わされて以来トラウマになっていました。長い間、音楽に触れずにいて、カレー屋をしている合間に、文章を書いたり、絵本をつくったりしていました。2年ほど前の2月2日に、友人からギターをもらったことをきっかけに始めることにしました。音楽は完全に50歳を過ぎてからの手習いです。

 音楽をはじめてみると大変面白く、数ヵ月後の5月には『わらって吹き飛ばせ』『金がないシリーズ』などを発表できるようになりました。もともと詩をつくったりしていたので、曲をつくるのは簡単でした。

Q:そんなに簡単に作曲できるものなのでしょうか?
A:どうなんでしょうか。最初は、コード進行が簡単な作曲家の歌をまねて練習していました。すぐに歌える気がしたので、替え歌のような感じで作った歌を、3月の終わりにはお店でライブをしました。そのときに歌った歌が『金がない』という歌で、とにかくお金がない。何故かわならないけど金がない。お客も来ない、という歌でした。そのうちが楽しかったのでしょうか、聴きに来ていた子供が聞いたあとにすぐに歌っていました。また、後日、その子供が『金がない、わっはっはっ』と学校で歌って、ご両親が先生から『なにかあったんですか』と聞きにこられる、というハプニングもありました。

Q:音程が合っていないような気がするのですが?
A:あっていません。最近音符をかけるようになったので、曲を音符に書いています。でも、音感のある人の話では、実際の曲とは全く違った音符になっているそうです。曲とは違う音符をみて演奏すると、違うものになってしまうので、見ないようにしています。それでも、あんたほどギターがヘタでも熱唱する人はいないので、練習とかは気にせずに続けたほうがいいとよく言われます。カレー屋さんのお客には、ギタリストや音楽家の人も沢山いるのですが、みなさんいいといってくれます。

Q 大変な勢いで製作されていますね。
A:1年半で105曲つくりました。11ヶ月で16枚のCDを出して、現在ベスト版が2枚あります。いずれギネスに挑戦したいと思っています。

Q:CDはいくらですか?
A:CD付きカレー1000円。CD1枚500円。カレーは700円です。

Q:実際の曲を何曲かお願いします。
A:NO59 『タンドールチキン』

タンドール、すみをおこして、あたためろ
換気扇を回せ、ファン、ファン
スパイスにまぶした、鳥肉、テカテカと赤いアブラをたらして
タンドールで焼かれています
換気扇を回せ、ファン、ファン
煙が部屋を曇らせる、アァ
換気扇を回せ、ファン、ファン
たのしいね、タンドールをあたためろ
チキンをテカテカに焼け
……

NO.95『ザ・座禅』

(ギターを使わずに手拍子で歌う。本当は木魚がよいとのこと)

ザ・ザ・ザ・ザ・座禅
ム・ム・ム・ム・無心

なによりも、むずかしい
なにももとめず、そのさきには、なにもなあい

無・無・無・無
無・無・無・無

だれでも、2・3回やれば、こなくなる
なにかを求めて来るからだ
和尚が、そういっていた

無・無・無・無
無・無・無・無

無心
そのさきには、なにもない
……

 この歌は、会社の同僚が鬱になってしまった時に、その友人が座禅に興味をもったので、一緒について座禅をしにいったときの体験をもとに歌ったものです。歌詞の中の『2、3回でこなくなる』というのは、最初の座禅が終わったときに、住職が言い出したことです。何かを期待してくる人は、あまり続かない、ということでした。聞いたときは、はじめたばかりなのに、なにを言い出すんだろう、と思っていましたが、その言葉は本当で、友人のほうは本当に2回ほどで来なくなって、座禅に何の期待もしていなかった自分は、いまでもお寺に通って座禅をしています。

 何がある、というわけではないのですが、座禅をして、そのあとに一緒に食事をしながら話をするのが楽しいです。こころがリセットされるような気がします。いまのように忙しい時期(花祭りの準備で忙しかった)は、座禅はお休みしていますが、しばらくして落ち着いたら、また通いたいと思っています。春は出会いの季節でわかれの季節、生まれるものもあれば、消えてゆくものもある。

Q:タンドリーチキンの歌は、実際に作っている情景が眼に浮かびます。
A:これはお店でタンドリーチキンを作っているときに作った曲です。自分の曲は、殆どが実際に経験したことがもとになっています。曲に出てくる人も実在の人物です。想像で曲をつくったりするのは苦手です。

Q:曲にナンバーがついていますね?
A:全曲ナンバーがついています。何番目の曲を歌ってくれ、といわれれば、すぐに歌うことができます。人間ジュークボックスのようなものです。全ての曲が作成年月日順に名前がついています。

Q:そんなに一瞬で曲ができるものなのですか?
A:自分はメロディーとか和音がわからないので、ICレコーダーに録音してから、曲に起こします。曲をつくるのは数分でできます。曲を作ったあとに、長い時間をかけて音符に起こします。この作業がとても長い時間がかかります。

Q:何故カレー屋を始められたのですか?
A:サラリーマンがイヤだったので、食べ物屋なら食いっぱぐれないだろうと思ってはじめました。料理学校にいっていない人は、2年間の実務経験がないと調理師免許が取れないので、2年ほど中華料理屋で修行をしました。そのあと、インドに何ヶ月が修行にいってカレーのことを勉強しました。インドに修行にいったのは、たまたま、女房がインドに留学したことがあって知り合いがいたからです。特にこだわりがあったわけではなくて、女房が留学したところがフランスだったら、フランス料理を勉強していたと思います。実際にインドで修行した期間はそれほど長くはありませんが、水戸黄門の印籠のようなもので、これがあると人は納得してくれるんです。
(筆者注:眼我さんの作るカレーは十分おいしいです)

Q:最後に、LOVE&ビンボー春祭りに向けて一言。
A:ゴキブリは、日本では忌み嫌われていますが、北海道では出ませんね。出ない地域の人は、実物を見ると驚きます。でも東北のほうでは、本当に時々出るものだったようです。非常に珍しいので、むかしは台所の神様のような扱いをうけていた、ということを、どこかで聞きました。あと、フランスなどの寒い地域でも、似たような習慣のようなものがあると聞きました。その話に触発されて、名古屋のゴキブリが東北を目指して旅立つという小説をいま書いています。

 この話のように、世の中、どこかで非常に嫌われているものでも、ありがたがられる場所もあるものです。LOVE&ビンボー春祭りは、名前といいコンセプトといい、自分のためにあるようなお祭りです。ガンガーで歌うのも楽しいですが、このおまつりのように外で歌うのも楽しいです。でも、自分にぴったりのコンセプトの場所で歌うのはもっと楽しいです。誰にでも、しっくりはまる場所があるものなので、無理せずに楽しく生きていきたいですね。

 眼我さんは、4月27日のLOVE&ビンボー春祭りでは、LOVE&ビンボーの歌を作曲する予定とのことでした。東京などで活躍するメジャーアーティストではなくて、眼我さんのような、地域で活動する味のあるアーティストを主役にできるようなお祭りは、貧乏人にもやさしく、結果として環境負荷もフトコロ負荷も少なくて、よい人選だと思いました。また、メジャーなアーティストはイベント後に帰ってしまいますが、眼我さんは地元に住んでいるので、イベント後の関係の継続性も期待できます。LOVE&ビンボー春祭りが、地元で活躍する人たちを発掘できる活動になってゆくと良いと思います。

問合せ先
インド料理店ガンガー内 眼我真
愛知県日進市梅森町植松661-6 052-806-5570

4月27日 LOVE&ビンボー春祭り アースデイあいち2008
http://blog.livedoor.jp/ed_aichi_net/
http://blog.goo.ne.jp/nagoya_p_net

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