労使交渉で「脳内出向」事件に逆切れ、使途不明金も発覚か? なごやボランティア・NPOセンター

さとうしゅういち2009/01/28

http://www.news.janjan.jp/living/0901/0901276294/1.php

25日に行われた組合側の抗議行動。25日に行われた組合側の抗議行動。

 NPO法人ワーカーズコープ(労協センター事業団)が指定管理者のなごやボランティア・NPOセンターでは、いわゆるKY解雇事件に端を発し、自治労ワーカーズコープ職員ユニオンの柴田太陽委員長に対する嫌がらせ、常勤化を一度は約束したYさんの勤務日数激減とその後の不誠実な対応、主催講座参加者数の水増し、労働者代表選挙結果の改ざんなどさまざまな問題・疑惑が持ち上がっています。

 そのワーカーズコープ当局ですが、今度は労使交渉の場で、組合員を唖然とさせる対応を取りました。

 組合側は、これまで一貫して、Yさんの常勤化を要求してきました。当局が2008年8月3日に一度は約束したことですから当然です。ところが当局は「あいち労協」への実態のない架空の出向斡旋を行うなど、不誠実な態度に終始してきました(いわゆる「脳内出向」事件)。

■「代替プランを出せ」と交渉で逆切れの当局
 Yさんの常勤化と未払い賃金、休業補償の支払いを要求し「脳内出向」事件の責任を追求する組合に対して、当局側は「代替プランはないのか」などと、訳の分からないことを言い出しました。

 こういう話は、当局が提案して、組合が呑むかどうかと言うのが、交渉の手順でしょうし、そもそも今回の「脳内出向」は、当局側からの「お願い」にたいして、条件を聞きにいったら、それが架空の話だった、というお粗末な話ですから、責任は100%当局側にあります。

 そもそも当局は、組合つぶしのために、全国から「本部事務局員」=当局派を送り込み、当局の「えらい人」が彼らの指揮を取るという、異常な体制をなごやNPOセンターに構築しています。そして、その本部事務局員らは、ワーカーズコープの宣伝や、「研修」と称した水増し講座に走り回っている状態です。

 このような「組合潰し」体制を解除すれば、大量の予算は浮き、Yさんを常勤にすることなど、簡単に出来ます。当局がそれをせずに「脳内出向事件」などを引き起こしているから問題が解決しないだけです。

 また組合側は「代替プラン」としては、本部職員を引き上げて、それで浮いたお金で、Yさんを常勤化すればいい、といっているだけですから、非常にシンプルな代案を出している、ともいえます。

 どうしても「Yさんの常勤化がしたくない(はじめは当局から言い出したこと)」というのは、当局側の都合なので、組合側の知ったことではありません。

使途不明金も発覚か?
 さらに、もう一点、金銭面でも疑惑が持ち上がりました。「経営上の問題」を理由に、常勤化を拒む当局に対して、組合側が、NPOセンター(センター事業団内部では「伏見事業所」という)の財務諸表の提出を求め、閲覧したところ、既に年間予算2,800万円の事業所で、180万円もの赤字が出ている、ということです。

 なおこの財務諸表には、どうやら「本部からの増援」のための経費は、含まれていないようです。増援組(当局派)の給料も含めたら、いくらの「赤字」がでているのでしょうか?

 また、財務諸表には、なぜか「人件費と経費」の項目が二つあり、誰に支払われたか、定かでない、使途不明」の費用が100万円ほどあるとのことでした。

 また、7月までは数千円程度だった「外注費」も、12月には数十万円も発生しているとのことで、その詳細については、現場の職員はまったくしらされていないとのことでした。ワーカーズコープは、働くものすべてが出資して、一緒に経営にも参加する組織です。このような経営状態などについて、まったく知らされていないのでは、組織原則を逸脱しています。

 組合側は今後、より詳細な財務諸表を提出するように要求する、とのことでした。

■他のワーカーズコープに対しても迷惑なセンター事業団
 なお、センター事業団、あいち労協など、県内労協が集まり、25日、集会を行ったそうです。その会場近くで、組合側は抗議行動を行いました。参加した組合員によると、ビラの受け取りは良かった、ということです。

 労組の人によれば、今回の事件の相手である、ワーカーズコープ・センター事業団と、ワーカーブコープ・あいち労協、ワーカーズコープ・高齢者協とは「ワーカーズコープという方式」がたまたま同じだけで、本来的には別のものである、とのことでした。

 25日の集会でも、ビラの受け取りが大変よい、ということからもわかるように、[あいち労協、高齢者協の人たちは、もともと市民運動などにも理解があり、かつ「協同労働」を、本来の意味で実現しようとしている人たちが、多いのではないか?すべてをみたわけではないが、センター事業団よりは、良心的な人たちが、多い気がする」、と組合関係者は語っています。

 センター事業団当局は、不安を感じている労働者に対しても、また、名古屋市民に対しても、説明責任をはたすべきでしょう。

 そしてなにより、ワーカーズコープ・センター事業団の引き起こした不祥事により、「ワーカーズコープ」全体の評判を落としたことにたいして、センター事業団以外の、誠実に協同労働を目指している「ほかのワーカーズコープの仲間」にたいしても、この事件、とくに「脳内出向」事件や、仕事がなくて帰ってきたYさんに、NPOセンター所長・松垣芳信さんが「あなたの主観でしょ」などど暴言を言ったことにたいして、責任をとるべきです。

注:「ワーカーズコープ」は「労働者協同組合」という「スタイル(運営方式)」で運営される団体を指す一般名詞です。

 今回の事件における「NPO法人ワーカーズコープ」は、業界では一般的に「センター事業団」とよばれているところですが、全国には「センター事業団」以外の「ワーカーズコープ(労働者協同組合)」が、たくさん存在しており、そのおおくは、地域で活動する事業規模の小さなものです。「センター事業団(NPO法人ワーカーズコープ)」の規模は、全国組織だけあって大きく、日本全国にある「ワーカーズコープ(一般名詞)」の、およそ4割ほどの規模を占める組織です。

◇ ◇ ◇

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