ワーカーズコープは労基法を守れ! (酒井徹の日々改善)

――就業規則変更強行は労働基準法違反!――

http://imadegawa.exblog.jp/8969253/

■違反なら「30万円以下の罰金」!
NPO法人ワーカーズコープ伏見事業所
なごやボランティア・NPOセンター)では現在、
期間の定めなく雇用されている従業員が、
管理監督者である松垣芳伸所長を含めて11名いる。
労働基準法第89条によれば、
「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、
 ……就業規則を作成し、
 行政官庁に届け出なければなら」ず、
「変更した場合においても、同様」である。
(使用する労働者数が
 常時10人以上になるに至った場合は、
 遅滞なく、就業規則の届出を
 所轄労働基準監督署長にしなければならない
 《労働基準法施行規則第49条》)。

ワーカーズコープは現在、
従来のワーカーズコープ全体の就業規則から独立して
伏見事業所独自の就業規則の作成
(伏見事業所の労働者から見れば就業規則の変更)を
行なおうとしているが、
松垣所長らは行政官庁(労基署)に届け出るつもりが最初からないことを
公言している。

また労基法第90条は第1項で、
事業所の規模にかかわらず、
「使用者は、就業規則の作成又は変更について、
 当該事業場に、
 労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においては
 その労働組合
 労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては
 労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない」と
明確に定めている。
(「労働者の過半数を代表する者の意見を
 聴かなければならない」のであって、
 「過半数の労働者から意見を聞けばいい」のではない)。

今回の就業規則の変更(作成)にあたってワーカーズコープは、
個々の労働者に(8月25日に)
「28日までに意見を書いて出すように」などと言うだけで、
労働者代表の選出を行なおうとしていない。

この労働者代表の意見というのは、
単に「聴けばいい」というだけのものではない。
就業規則を行政官庁に届け出る際、
労働者代表の意見は意見書として
就業規則に添付して提出しなければならないという、
非常に重いものなのだ(労働基準法第90条第2項)。
(個々の労働者の意見を聞いて回ったものでは、
 この役割を代替することができない)。

ワーカーズコープがこのまま労働者代表の選出もせず、
労働者代表の意見も聞かないまま
就業規則の変更(または作成)を強行し、
さらにそれを行政官庁にも届け出なかった場合は、
労働基準法第第89条及び第90条第1項に違反することとなり、
労働基準法第120条により
「30万円以下の罰金」に処せられることとなる
就業規則作成の手続き違反)。

そもそもワーカーズコープは、
「なごやボランティア・NPOセンター」の指定管理者として
指定を受けた際、
名古屋市との契約で労働基準法の遵守を誓っている。
これを公然と破ったりすれば、
それこそ
「指定管理の取り消しもあり得る」とんでもない事態となってしまい、
そこで働く人たちが路頭に迷うことになる。

また、
名古屋ふれあいユニオンがワーカーズコープに送った
8月26日付の
「分会委員長・柴田を労働者代表選挙から排除する
 『自宅待機命令』を撤回し、
 真に公正・民主的な就業規則改訂を求める申入書」でも
指摘されていることであるが、
事業所の規模にかかわらず
「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合」は、
労働組合等との交渉……に係る事情に照らして
 合理的なものであるとき」でなければ
「労働契約の内容である労働条件」を
「当該変更後の就業規則
 定めるところによるものとする」ことはできない(労働契約法第10条)。
それなのにワーカーズコープからは、
ワーカーズコープ伏見事業所に現存する労組である
名古屋イキナリ労組にも、
名古屋ふれあいユニオンにも、
現時点にいたってなお何ら交渉の申し入れがないのである。
労働組合等との交渉……に係る事情に照らして
 合理的なものであるとき」でなければ
「労働契約の内容である労働条件」を
「当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする」ことは
できないのに、
そもそも労働組合との交渉自体を行なわないということでは、
全く話にならないのである。

今回の就業規則改定案では、
いわゆる「KY解雇事件」で
Nさんが不当解雇された際の就業規則では
13項目であった「遵守義務」事項が20項目へと急増している。
この「遵守義務」項目の中には、
「業務に関する事項について、
 組合の承認を得ないで、
 ……インターネット上での表現等をしないこと」と、
まるで名古屋イキナリ労組の活動を
狙い打ちにするかのような規定が新設されていることも
見逃せない(第10条18項)。

また従来あった、
「この規則を改廃するには、
 組合員の過半数を代表する者の意見を
 聞かなければならない」(第74条)に該当する項目が
削除されるなど、
労働者側に明らかに不利益な内容が散見される。

また、
Nさんが不当解雇された際には、
従来の就業規則にもあった
「除名処分は、
 各職場、事業所で十分な議論及び大多数の同意を得た上で、
 定款第10条の第2項及び第3項の手続きを
 行わなければならない」との規定が労働者側には隠されており、
極めてアンフェアな団体交渉となってしまったという事実も
私たちは知っている。
就業規則の中で、
全就業組合員に就業規則を配布することなどを
明記しておくことの必要性を感じる。

ワーカーズコープは伏見事業所内に現存する
名古屋イキナリ労組
(名古屋ふれあいユニオンワーカーズコープ分会)を尊重し、
就業規則の変更(作成)にあたっては、
労働契約法の定め(第10条)に則り
事前に交渉を申し入れる必要がある。

また、
ワーカーズコープは名古屋市との契約の通り、
「なごやボランティア・NPOセンター」の指定管理者として
労働基準法を遵守しなければならない。
期間の定めのない従業員が十人を超える
伏見事業所(「なごやボランティア・NPOセンター」)においては
労働者代表を選出し、
36協定を結んだ上で残業をさせる、
就業規則の変更(または作成)にあたっては
労働者代表の意見書を添付して
所轄の労基署に届け出るなど、
労働基準法上の最低限の民主的ルールを
きちんと守らなければならない。

驚くべきことに、
ワーカーズコープにおいては労基法を守らなくていいというような議論が
一部で「大まじめに」議論されているらしい。
労働組合法も守る必要はなく、
団体交渉権や団体行動権を定めている憲法の方が
おかしいのだそうだ↓。
「[http://www.news.janjan.jp/living/0809/0808315930/1.php:title=労働法軽視『偽装経営者』の温床になるか?
 市民会議提案の労協法案を考える]」
恐ろしいことである。




【参考記事】
『KY解雇』が発生? 名古屋市の施設の指定管理者交代のその後
名古屋イキナリ労組、ふれあいユニオンに合流
ワーカーズコープ、Nさんにも自宅待機命令
インタビュー:ワーカーズコープに労組ができました
自治労・ワーカーズコープ職員ユニオン誕生!
労働法軽視「偽装経営者」の温床になるか? 市民会議提案の労協法案を考える



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