ワーカーズコープが労働者代表選挙結果を改ざん? なごやボランティア・NPOセンター

さとうしゅういち2009/01/23

なごや・ボランティアNPOセンターでは昨年から新たに指定管理者となったワーカーズコープ(労協センター事業団)による様々な問題が生じています。いずれも労働者の味方であるはずの組織がやってはいけないことですが、今度は、この1月11日に強行された労働者代表選挙の結果を改ざんしたのではないかという疑惑が持ち上がりました。

http://www.news.janjan.jp/living/0901/0901215849/1.php

なごや・ボランティアNPOセンター。今度は、選挙結果が改ざんされた疑惑が浮上。 なごや・ボランティアNPOセンター。今度は、選挙結果が改ざんされた疑惑が浮上。 

なごや・ボランティアNPOセンターでは昨年から新たに指定管理者となったワーカーズコープ(労協センター事業団)が、いわゆるKY解雇事件、労組の柴田太陽委員長へのいやがらせ、いったんは常勤化を約束したYさんのシフト削減、さらにはYさんに架空の出向斡旋をするなど、不誠実な対応が続いています。

 さらに今年に入ってからは、当局に都合のよい就業規則(実は作成か、改訂かという基本的事実すらも、当局は曖昧にしている)を通すため、全国から集めた「本部事務局員」7人を参加させた労働者代表選挙を1月11日、強行しました。

参照:
ワーカーズコープ 労働者代表選挙に介入? なごや・ボランティアNPOセンター

 ところが今度は、その選挙結果が改ざんされたのではないかという疑惑が持ち上がりました。

■「労働者代表選挙」強行するも目的果たせず
 この選挙で当局は、労組側に発言や立候補、候補者推薦の隙さえ与えずに投票を強行しました。しかもその過程では、抗議をする柴田委員長に対してわざとぶつかりながら転び、「暴力だ」と言い出したり「バカヤロー」などとの暴言を吐いたりしています。そこまでした当局でしたが結果は、

当局派の候補者Aに、4票
当局派の候補者Bに、2票

 となり、結局「労働者代表」=当局派Aは、全体の4分の1の支持しか得られないという「惨敗」ぶりでした。

■まさかの「選挙結果改ざん」で職員の度肝を抜いた当局
 さらにワーカーズコープ当局は20日になり、職員(労組員)たちの度肝を抜く行動に出ました。この日当局は、選挙の議事録を職員に配布したのですが、その議事録が事実と異なっており、特に選挙結果が以下のように変わっていたのです。

当局派候補者A、9票
当局派候補者B、1票

 なんと、当局派候補の得票数が倍以上になりました。

 当局側の文書によれば「労組の人間の妨害により進行できないので議長(議長選出の経緯も不明)の林幹則さんが皆の意見を個別に聞いて労働者代表を選出することを宣言して閉会した」とあるのですが、上にも書いたとおり、これは事実と異なります。

 なお、勝手に議長として「労働者代表選出」を強行した『林幹則』さんは、12月にやってきた本部からの『増援組』の一人で、ワーカーズコープ・センター事業団香川事業所長という肩書きをもっており、柴田委員長にわざとぶつかって「暴力だ」と因縁をつけてきた人だそうです。

 ワーカーズコープ=センター事業団は、過去にもこのように「当局派」を大量に送り込む物量作戦で労組や労災を握りつぶしてきた、といううわさがあります。林さんも、このような事態に対処するための、専門の『実行部隊』の一人なのかもしれません。

 さらに問題なのは投票数の増減です。

 ワーカーズコープ当局側は、事前に白紙委任状を集めたりしていたのでしょうか? 「白紙委任状」を集めていたなら、それを選挙の際、皆に見せるなり、議長が「出席者何人、委任状何人」と、発表するなりしなければなりませんでしたが、そうした事実はないそうです。それどころか誰が『職員』なのかについてさえ、一切説明が無く、名簿も見せられなかったとのことでした。

 しかも、得票数9となった候補者A以外にも、候補者Bに投票した人が2名いたのは投票者全員が目撃していますし、当日、当局側が発表していることでもあるのです。それを当局は、今度は1票と発表しています。この点は明らかに改ざんと言えるのではないでしょうか。

■混乱を労組員に転嫁し「会議出席禁止」
 しかも当局は、議事録において「この日の会議は労組の人間により妨害をされたので、成立しませんでした。以後は会議への参加を禁止します」などの「抗議」を、「理事長・永戸祐三」名で出してきました。

 しかし実際には「当局派」こそが、労組との話し合いを拒否し続けている当局に抗議をしていた柴田委員長に対して、「柴田君に出て行ってほしい人」などと提案し、いっせいに手を挙げて「みんな出で行ってほしいといっています」などする締め出し行為を繰り返していたのです。そこで指揮をとっていた人は、専務理事の田中洋子さんで、その場にいた人の話では、会議は「荒れた学級委員会のようだった」とのことでした。

 さらに当局は、Yさんと柴田委員長に対して「お前たちのせいで、就業規則や36協定が遅れている」と「抗議」をした上で、職場での会議への参加を禁止する、反省文を出せ、と通告しています。そもそも存在しない『誓約書』に従え、などという意味不明のことすら言い出しているそうです。

 しかし『職場での会議』は、ワーカーズコープの組合員(会社法における『社員』=株主と同等の意味)の権利として、ワーカーズコープの定款などにも明記されています。その会議からの排除を、一方的に通告してきたのです。

 これまでも当局側は、労組員を、会議から再三排除しようとして来ましたが、『ワーカーズコープの理念』にも、組合員としての権利であると明記されていますので、ワーカーズコープ=センター事業団が、ほんとうに『ワーカーズコープ(労協)』であるならば、排除してはいけないのです。

 しかもその『会議』も、業務なのか、そうでないのか曖昧なまま「トヨタQCサークル」のような状態で続けられているもので、仮に「業務命令」として排除するとなると、過去にさかのぼって「業務」としての残業代を支給しなければならなくなります。

 ともかく柴田委員長もYさんも、労働内容は正規職員と同じであるにもかかわらず、低い時給で働いている立場ですが、いずれも5万円の出資をしている立派な『組合員』なのです。しかし当局は、彼も出資金を出している『仲間の一人』であるということは、全く念頭に無いようです。

■紛糾の責任は当局にあるのでは?
 そもそも現在「なごや・ボランティアNPOセンター」で起こっている混乱は、当局が、指定管理者取得の計画のずさんさからきているミスを現場に転嫁し、Nさんを不当解雇したことや、Yさんに常勤化を約束しながら反故にし、さらに「あいち労協」への出向話をでっちあげる、など不誠実な対応をとってきたことが原因で起こったことです。

 特にNさんを解雇した根拠となった『就業規則』は、これまでに存在したのでしょうか?労組は一貫して『今回の就業規則の一件は、作成なのか変更なのか(手続きが異なります)』という質問をしていますが、何一つ回答はありません。それらの問題を棚に上げ、混乱の責任を労組に転嫁する当局は、無責任ではないでしょうか?

 反省をする必要があるのは、当局側であり、文書の名義人である理事長・永戸祐三さんです(本当にご当人が書いているのかは、疑わしいのですが)。それとも当局は「毒を食らわば、皿まで」と「嘘の上塗り」を続けるのでしょうか? 事態は重大局面を迎えつつあります。

◇ ◇ ◇

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